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健康商品の有効性と安全性を伝えるときのポイント

第12回:健康商品の有効性と安全性を伝えるときのポイント(まとめ)


これまで「健康商品の有効性と安全性を伝えるときの大切なポイント」と題し、私なりの視点からいろいろとお伝えしてきましたが、いよいよ最終回となりました。初めてお会いする方から、「大阪産業創造館のコラム、いつも読んでいます」と言ってくださることも多く、大変うれしく思っています。今回はまとめとして、特に大切なことを改めてお伝えしたいと思います。

(1)健康機能をもつ自社商品の位置づけと市場特性を確認する

普通の商品よりも割高な健康商品を購入する消費者は、健康という「価値」にお金を支払っています。
その価値の基準は人により様々ですが、この感じ方の違いをベースに自社商品の戦略を考えることができます。

健康食品を例にとりましょう。健康食品といっても、粒型のサプリメントのように、お腹がすいたから食べるとか、喉が渇いたから飲むといった食品ばかりではないことに気付くかと思います。そして、漠然と栄養不足を補おうとする目的のものから、便秘をなんとかしたいなど明確な目的をもつ食品もあります。

ペンをもって、紙に十字を書いて見ましょう。上下両端には、「健康増進(改善)」「健康維持(栄養補給)」を、左右両端には「健康機能(成分効能)重視」「食品機能(おいしさ)重視」と書きます。自社商品の持つ価値は本来的なものか、付加的なものか。訴求したいのは機能か、それとも感覚的なものか。自社商品の位置づけを、食品以外の健康商品、例えば化粧品や健康器具、雑貨でも同様に考えてみてください。食品を例にとり、下記に4つのタイプを列挙してみます。

A)成分重視、明確な健康改善を目的とする商品

B)成分重視、日常の健康維持を目的とする商品

C)おいしさ重視、日常の健康維持を目的とする商品

D)おいしさ重視、明確な健康改善を目的とする商品

(2)有効性や安全性、品質を訴求するときの注意点を知る

薬事法規制など、表現に対する「ルール」を知ることも大切です。許可のない商品で、「○○の病気が治る」といった効能効果を表現してはならない、ということは本コラムの読者であればご存知だと思いますが、他にも多くのルールがあることを常に考えておくことが必要です。
薬事法の規制といえば、複雑で面倒そうだなと思われるかもしれませんが、結局のところ4つにポイントは絞られます。「病名(○○でお悩みの方に等)は表現できない、変化(○○には○○作用があります等)は表現できない、体の一部(目、肌、関節等)は表現できない、薬特有(1日3回、食後、服用等)の表現はできない」ことです。


また、こうした規制の背景を知ることも重要です。なぜ、健康機能の表現を規制するのか?を考えてみてください。実際に、健康被害のある可能性が否定できないなど品質管理に疑いのある商品を排除できるなど、この規制に対して一定の評価をしている事業者もいます。薬事法規制の存在意義は、「消費者から適切な治療機会を奪うことを防ぐことが目的」と考えてよいでしょう。
病院に行けば治る人、薬を飲めば治る人に対して、そんなことをしなくてもよい、という言い方に問題があるということです。つまり「この商品を摂取(使用)するだけで、○○病に効く(△△の作用がある)」という言い方が規制に触れやすい表現といえます。

効果的な表現を追及するうえで、商品特性の違いにより陥りやすい問題点も異なります。

A)B)・・・「これを摂取するだけで○○が治る」など、薬と誤認される表現になりやすい

C)D)・・・業界(公正競争規約等)、地域別(自治体条例)に設けられたルールに触れやすい

(3)品質の表示や広告の表現が事実であることの証明を準備する

表現規制を回避しようと、様々な試みが見られる点に対しても注意があります。誰が、何を表現するかという視点で考えてみましょう。自社が表現するのではなく、第3者が表現すればいいという考え方もありますが、これにはブック商法と呼ばれる規制が存在します。何を、という内容としての効果効能が表現できないということで、品質にフォーカスせざるを得ないケースもあります。国産原料使用、ビタミンCを○○mg配合などの品質訴求ですが、これには品質表示基準(農水省)や栄養表示基準(厚労省)、公正競争規約にて規制がある場合が多いので注意が必要です。また、通常の○○倍の濃縮技術、国内ユーザー○○人のうち○○%が満足、という基準が設定しにくい表現には、その事実を証明できる客観的な根拠が必要です。

本コラムでも初期にお伝えしましたが、これからは「訴求している品質などの表現は、実際と比べて本当かどうか」が問われるようになります。つまり「言っていることは本当かどうか」について疑いが持たれた場合は、期限内(通常は14日)に、製造もしくは販売する事業者自身が根拠資料の提出をもって、客観的かつ合理的に立証しなければいけません。

合理的な根拠とは、

Ⅰ)提出資料が客観的に実証された内容のものであること

Ⅱ)提示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

の2つの用件を満たす必要があります。


客観的に実証された資料とは、

a)「試験・調査」によって得られた結果

b)専門家、専門家団体もしくは専門機関の「見解」又は「学術文献」

のいずれかに該当するものです。


これら事実の証明に際して、商品特性の違いにより陥りやすい問題点も異なります。

A)D)・・・比較対照のない商品使用後の結果や体験談、感想等を根拠にしてしまいやすい

B)C)・・・使用する成分の含有量にバラツキが生じやすく、強調表示基準に触れやすい

(4)有効性や安全性、品質の訴求よりも大切な3つの順番を再確認する

【1】なぜその企業がその商品を売っているのか、誰でも説明できること

有効性や安全性、品質の訴求が優れていても、実際に売れる商品とイコールではありません。多くの企業が最初につまずいているポイントは、「なぜうちの会社がこの商品を販売するのか」について明確な答えを周知できていない点にあると感じています。

「また社長が新しい事業を始めだしたよ。今度はサプリメントだって。しかしなんで、うちの会社がサプリメントを売らなきゃいけないんだろうね。健康食品を売るためにこの会社に入ったわけじゃないのに…。」これでは、商品がどんなに優れていても、うまくいかないことは明白です。

反対にうまくいっている企業は、ここがしっかりしていると感じます。多くの時間を社内のコミュニケーションに使い、さらにその思いを組織名やスローガンなどの言葉にしたり、販促物などの目に見える形にしたりと、さまざまな工夫を凝らしていることが分かります。簡単に言えば、「商品の持つ使命を明確にする」ことですね。

【2】従業員自身が、商品のファンになっていること

次に大切なポイントは、「従業員自身が商品のファンになっていること」です。ファンになるくらい、商品のことを気に入っているということです。これを測る指標としては、社内用サンプルの持ち帰りニーズが高いかどうか、などがあります。持って帰れば、自分で使うか、家族や友人に渡すか、いずれにしても商品自体を「よいものだ」と思っている証拠です。そんな自社商品への愛着のある従業員が、接客や販促物を作成すれば、必ず表に気持ちが現れてくるものです。

従業員だけでなく、外部の協力者についても同じことが言えるでしょう。ただし上記【1】の背景が無い、もしくは下記【3】の根拠が曖昧な場合は、過ぎた愛着と変わる可能性があることもリスクであると感じています。

【3】規制で使えなくても、科学的根拠などのデータを持っていること

3つ目は、原材料などの品質、安全性、有効性などの根拠資料を持っておくことです。特に有効性(健康機能)について、「各種規制により表現できないと知ったうえでも、科学的根拠などのデータを持っていること」が大切であると言えます。

表現できないのに、お金をかけてまで試験の実施や科学的根拠を取得する必要があるのか、と思われるかもしれません。ですが、科学的根拠などのデータなくして、【2】の共感を得ることは難しいものです。明確な根拠なしに消費者に販売する姿勢をみて、従業員自身が商品を持ち帰りたがるでしょうか。家族や友人に勧めるでしょうか。規制のため表に出せなくとも、バックデータはしっかりとっておくこと。そういった姿勢に、従業員は共感を受け、しっかり販促を行うものです。

もう一つ大切なことを付け加えるとすれば、外側から見える順番がポイントです。うまくいっている企業は、【1】→【2】→【3】のように見えることを心がけています。【3】で品質ばかりを見せようと奮闘し、【1】【2】は後付けで添えられているだけにならないよう、順番を再確認してみましょう。

よほど差別化できていないかぎり、同じ程度の商品であれば、他の信用できる会社か共感できる会社で購入するものです。見え方の順番を大切にし、共感を得て、「どうせ同じものならこの会社」と思われることをめざすと良いと思います。

長くなりましたが、特に大切なポイントだと思うことをまとめてお伝えしました。まじめに品質情報や安全性、有効性の話を開示してもなかなか売れない…と感じたら、ぜひこの話を思い出してください。本コラムが、皆様のビジネスの一助になることができましたら幸いです。

以上が、パッケージ表示や広告から商品を見分けるときに実施するポイントです。 消費者はこのような視点で商品を見ていますので、みなさんの会社のパッケージ表示や広告を 見直すときの参考にしてみてはいかがでしょうか。

【ヘルスケア・マーケット・レビュー3月号掲載予定】

著者プロフィール
川合裕之 氏

川合裕之(かわいひろゆき)氏

株式会社ラベルバンク 代表取締役

即席ラーメン会社のサラリーマン、ラーメン屋のアルバイト、メロンパンの移動販売開業と閉鎖を経て、食品の空き容器を収集しながら「食品表示・広告表現の課題解決企業株式会社ラベルバンク」を設立(2003年)。
インターネットショッピングサイト上に食品品質表示が掲載されていない点にチャンスを感じ、「食品の品質表示は見せた方が得と考えている食品メーカーに、複雑な食品表示のアドバイスや、品質情報の効果的な見せ方を提供する」コンサルティングを 展開するが、科学的根拠よりも大切なポイントがあることに気付く。
健康食品の品質表示・薬事法規制をテーマに官公庁・展示会等全国で講演多数、食品専門誌(月刊食品包装等)で執筆。

編集人:北口 編集責任者:武坂

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