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トクホのヒト試験費用は4000万円以上?!
ありそうでなかった!健康食品産業の実態調査

健康食品産業は、国内健康産業の中で最大市場であり、大きな存在感を示している。しかし、これまでに諸統計もほとんど整備されておらず、その実態は明らかではなかった。

健康食品製造・販売企業の「広告費」「研究開発費」「次に追うテーマ」とは-。今月は、厚生労働省の外郭団体である、財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会が実施した「『食品機能と健康』に関するアンケート調査」結果から、健康食品開発の現状を紹介する。

<調査概要>
■調査主体:財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 「『食品機能と健康』に関するアンケート調査 報告書(http://www.shafuku.jp/healthyfood/pdf/shokuhin_kino.pdf)」
■調査対象:財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会の主催する「健康食品フォーラム」参加企業、及び、 財団法人 日本健康・栄養食品協会の会員企業が中心
■調査概要:配布(郵送)1556社、有効回答数400社弱(回収率24%)、2009年5月~7月実施
※本書における機能性食品とは、「特定保健用食品を含む特別用途食品」「栄養機能食品」「いわゆる健康食品」の3つを合わせたものをさす。

1. 機能性食品は自社製造4割、受託製造7割弱

自社製造および委託・受託状況については、複数回答で、自社で製造している企業は約4割、委託している企業は約7割となっている。当然ながら自社製造は企業規模が大きくなるに連れて増加しており、従業員規模が50人以上の中・大規模企業では、半数以上が自社製造を行なっている。

図表1 機能性食品の製造(複数回答)

機能性食品の売上高は、5億円未満と回答した企業が約半数だった。機能性食品の中でいわゆる健康食品を販売している企業が3分の2、次いで栄養機能食品が約半数、特定保健用食品(トクホ)は3割となっている。

最終製品の販売をしている企業の販売方法(複数回答3つまで)は、通信販売と薬局・薬店ドラッグストアが各5割前後と最も多く、次いでスーパーなど一般食品店が約3割、インターネット販売、いわゆる健康食品専門店となった。宣伝方法はインターネットが45%と最も多く、次いで、健康雑誌が約3割。テレビ、一般新聞、業界新聞が、各2割。 機能性食品の広告費用が食品関連の売り上げに占める割合は、5%以下が約2/3と圧倒的に多かった。次いで、10%と回答した企業が約1割。


2. 企業の注目度急上昇の「老化」「免疫・アレルギー」

機能性食品の研究開発を行っている企業は約2/3 (209社)。従業員数300人以上の大規模企業では9 割以上の企業で実施しているが、従業員数50人未満の小規模企業は半数ほどに止まっている。
研究開発実施企業が製品化した機能性の分野トップ3は、「お腹の調子」、「血糖値」、「免疫・アレルギー関連」。従業員300人以上の大規模企業ではトクホ用途である「血糖値」「お腹の調子」が多いが、50人未満の小規模企業では、「免疫・アレルギー関連」が多い。
今後開発したい分野としては、トクホとしての許可がまだない「免疫・アレルギー関連」、「老化」、「脳・精神関連」、「美容」が上位4 位を占めた。

図表2 製品化した機能性の分野 図表3 今後開発したい(開発中含)機能性の分野

関心のある機能性食品素材としては、「植物抽出物」、「ポリフェノール」を各4 割前後の企業が挙げている。

図表4 関心のある機能性食品の素材(回答3つまで) *全体の上位9項目のみ表示

また、新規素材の開発時に、重視する点としては、「安全性」と「有効性」に関する情報がそれぞれ6 割強挙げられた。まず「安全性に関する情報」が重要視され、次いで「素材」、「有効性」の新規性が3 割強で続いている。

なお、製品の有効性についての判断根拠は、「原料の有効性に関する文献・データの検索・調査の解析結果」が6割弱で、次いで「原料の有効性のヒト試験結果」が5割弱。製品の安全性について判断根拠は、「原料の安全性の調査結果」(61%)、「原料の食経験」(48%)の順であった。


3.トクホ製品のヒト試験費用は、4000万円以上が4割弱、
  1億円以上も1割以上

特定保健用食品の許可を受けた又は申請中の企業は、全体の約1/4。開発開始から販売までは、約3年と5年以上がともに30%を超えていた。また、開発費用は、ヒト試験にかけた費用は2000 万円未満が40%で、6 割以上の企業が4000 万円以内で許可取得している。一方、4割近く(36%)の企業が4000万円以上をヒト試験に投入している。

図表5 トクホ開発費用:ヒト試験に使用した費用(複数の許可品目がある場合は、平均金額)

一方、特定保健用食品以外の機能性食品を販売している企業は6割以上(195社)。最も売上高が高い製品の開発は、「関与成分から自社開発」したのが4割。「関与成分は他社から導入し、最終製品は自社開発」した企業(35%)と合わせると、何らかの自社開発を実施した企業が8割近くとなった。開発開始から販売までは、2年が最多。開発費用は、ヒト試験もそれ以外の試験も2,000万円未満と、トクホに比べて短期開発・低コストである。

なお、機能性食品の研究開発を行っている企業は約2/3(307社中209社)であるが、研究開発に投じる費用が食品関連製品の売上高に占める割合(194社回答)は、5%以下が最も多く約2/3を占めた。5%、10%と回答した企業が各1割前後。15%以上の企業は1割程度と少ない。


4.研究開発上の課題は「資金不足」と「研究成果を表示できない」

開発を進める際に支障となる課題(3 つまで回答)として、「研究開発資金の不足」「研究成果を製品表示できないこと」を、各5 割以上の企業が挙げている。特に、小規模企業の7割近くが、「研究開発資金の不足」を、大規模企業の65%が「研究成果を製品表示できないこと」を、挙げている。

さらに「研究スタッフの人材不足」、「研究開発から販売による資本回収まで時間がかかり過ぎること」「利用できる有効性・安全性の基礎的データが十分でないこと」、「ヒト試験の実施環境に恵まれないこと」と続く。

図表6 機能性食品の研究開発を進める上での支障となる課題(回答3つまで)

◆まとめ

・最初に留意いただきたいのは、今回紹介した調査の対象企業は、資本金5千万円以上の企業が65%、従業員数50人以上の企業が66%という点からも分かるように、日本の企業の実態からすると、比較的大きな企業の現状であるという点である(必ずしも妥当な比較ではないが、総務省「事業所・企業統計調査(平成18年度)」では、資本金5000万円以上の企業は全体の4.6%)。調査対象にも記載したが、「財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会の主催する『健康食品フォーラム』参加企業、及び、財団法人 日本健康・栄養食品協会の会員企業が中心」であるので、きちんと情報収集を行い、財団法人 日本健康・栄養食品協会の会員として入会金30万円と年会費10~20万円を支払う余裕のある企業である。つまり、副業的に個人輸入のサプリメントをインターネット上で販売するような事業者など健康食品販売企業に多い零細企業は含まれない。

・調査結果を見ると、健康食品のエビデンス構築は、予想通り高くつくことが分かった。トクホ製品では4割近くの企業が4000万円以上をヒト試験に投入しており、1億円以上も12%に達している。開発開始から販売までの期間も約3年と5年以上がともに30%を超えていた。特定保健用食品以外の商品でも、開発費用は、ヒト試験もそれ以外の試験とも2,000万円未満と、トクホに比べて短期開発・低コストであるものの、数千万円単位となっている。中小企業にとって、エビデンス構築は、依然としてハードルが高く、原料メーカーが提供する素材のエビデンスに頼る現状も理解できる。

・企業規模や、主たる業種(食品、製薬等)によって、各項目で差異が見られた。企業規模が大きくなるほど、自社製造が増え、研究開発にかける費用も増える。業種によっても、健康食品の開発方法(食品より薬品・化粧品の方が、関与成分は他社から導入し、最終製品は自社開発する企業が多い)、開発開始から販売までの期間(食品より薬品・化粧品の方が、開発期間が長い)、機能性食品の研究開発上の課題(薬品・化粧品より食品の方が、資金不足を挙げる企業が多い)等、傾向が若干異なる。また、今回の結果では明らかになっていないが、企業規模や業種の他、企業の収益全体に占める健康食品の売上げや健康食品事業の戦略上の位置づけ等によっても、エビデンスに対する姿勢や業界活動へのスタンス等が異なると思われる。

・海外の健康食品産業をみると、昨今では、米国のダイエタリーサプリメント、中国の保健食品、韓国の健康機能食品などにおける制度化と市場の拡大に加え、欧州では栄養・健康表示法が一昨年に施行されるなど、食品の健康表示の評価と許可が進んでいる。また、これらの制度化に伴って、食品機能の有効性評価法の開発が進展しており、さらには、ニュートリゲノミクスや分子イメージングなどの大型の新規プロジェクトも活発化している(参考:同報告書)。一方、国内では、特定保健用食品や栄養機能食品の表示規制や審査が消費者庁に移管するなど、健康食品業界にとっては逆風ともとれる、安全性重視、消費者保護の流れが強まっている。今こそ、健康食品の機能性と安全性の科学的検証の推進、健康長寿への活用などが望まれる。


編集人:北口 編集責任者:武坂 編集協力:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

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