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健康商品の有効性と安全性を伝えるときのポイント

第4回:既に起きた未来

行政(主に消費者庁設立)の動向を見ながら、今後の健康食品の安全性と有効性の認可制度について話を進めようと思っていたのですが、この7月21日にどうやら衆院解散と決まったようです。ここは一旦、行政や消費者庁の動向は様子を見ておくのがよいと考え、今回は少し違う趣向で話を進めていきたいと思います。

不況の口紅

 健康商品の有効性と安全性を上手に伝えて、消費者の信頼を得ましょう、より安心できる商品開発を目指しましょう、とは言いながらも、事業者の方にとって気になるのはやはり売上かと思います。筆者も経営者として様々な方にお会いすると、不況や景気についての話を聞くことが増えたと感じています。

 しかし不況とはいえ、伸びている会社とのお付き合いもありますので、今回の話は「伸びている会社の考え方」というテーマについて進めます。

 「lipstick index」(口紅指数)という言葉を聞いたことはないでしょうか。不況のときには、口紅の需要が伸びるという話のことですね。高価な美容商品より安価な口紅、という理由もありますが、生物学的な背景があるとも考えられています。

 実際に、総合的に商品を扱っている方や、常にPOSやランキングなどの市場動向を追っている方にとっては、健康産業はこれまでの生活習慣・体質改善型の商品よりも、コラーゲンやヒアルロン酸などの美容食品・化粧品の販売が好調だという実感があるのではないかと思います。
(しかしこのブームは、今年夏までではないかとも言われています)

2つのダイエット広告

 この傾向を早期に察知し、取扱商品を美容軸に移した企業も多く存在します。ただ、これには2通りのタイプがあると感じています。1つは「現状の法規制を考慮した結果」というプロダクト側の事情による発想と、もう1つは「将来のニーズを考慮した結果」というマーケット側の発想です。

 1つ目の方は簡単で、現在の薬事法による広告表現規制が厳しいため、新規に健康食品を開発し広告するのではなく、比較的規制の緩い化粧品の商品開発と広告を進め、最終的に健康食品を販売しようとするもので、通信販売の業界では特に顕著な動きだったかと思います。

これは業者側の置かれた事情による発想から生まれた戦略ですが、結果的に好業績に結びついたという点では、代替食品市場の成長と似ています。代替食品とは、1食をジュースやお菓子に置き換えることでダイエットを実現しようとする栄養食品を指します。

 同じダイエット食品でも、ある成分により脂肪が燃焼する、整腸作用があるなどの結果ダイエットが期待できるといった商品では、薬事法の広告表現規制に引っかかる場合が多いものです。ところが単純に1食抜きを推奨し、その代わりに栄養補給できる食品であれば、体内への作用は何ら無く、薬事法上の問題がなくなることから、販売促進上有利と判断した事業者が商品開発や事業参入を進めたと見られています。

 脂肪を燃焼させる、整腸作用があるなど体内に何らかの作用を及ぼすタイプの商品で、ダイエットを露骨に訴求した広告をみることがない一方で、ダイエットをもろに訴求した代替食品の広告を見かけることがあるのは、このあたりに理由があります。(ただしダイエットの訴求には、景品表示法の不当表示など、「客観的な証拠はあるか」という点には気をつけましょう。)

将来の経済不安を無くすという安心

 これに対して、将来のニーズを考慮したマーケット側の発想により、美容商品や化粧品へのシフトを始めた企業も多くあります。このたびの不況を見越して、先ほどの「lipstick index」(口紅指数)の話を、「不況になると安いものが売れる」と発想するだけでなく、不況下だからこそ赤い口紅を求めるという女性のニーズを生物学的にとらえようという考え方です。

 ある健康商品取り扱い会社は、これまで健康食品を中心にしていた品揃えを、化粧品中心に見直しています。これは、不況になると「教育などの将来に対する自己投資が増える」と考えていたからと聞いています。

 提供する製品の有効性(体によいのか)や安全性(大丈夫なのか)は、当然の話としてとらえ、さらにお客様の将来にわたる生活上の安心、経済上の安心を提供しようという姿勢を強く感じるものです。

 また、ある健康食品取り扱い会社は、従来のサプリメントの販売方法を見直し、子供の発育によい食品を提供するブランドに刷新し、今も伸びています。こちらも不況下だからこそ、せめて子供の将来のためにスポーツを習わせたい、たくましい子に育てたいというニーズの表れと、うまく結びついている例です。人間の生存欲求に応えた、生物学的な発想方法ですね。

 これらの事例をみると、同じように美容商品・化粧品へのシフトを果たしたとしても、お客様に与える安心感をどのようにとらえるかで、単に安い商品を販売するという戦略となるか、後々の会社の成長に差が出てくるものと考えることができます。

既に起きた未来

 著名な経済学者であるピーター・ドラッカーによれば、事業の将来を予測するにあたり「既に起きた未来」を分析するのが最も効果的であると言われています。景気や法規制は、比較的目に見えやすく見通しもしやすいため今回の事例としましたが、「既に起きた未来」の最も一般的な事例として使用されるものは、「人口」です。

 将来は少子高齢化の時代が来るらしいが、自分の面倒を見てくれる人はいるのか。いくら長生きしても病院のベッドの上にずっといるのはイヤだ、健康な状態で生きていたい。など、少子高齢化の時代だからこそ、“健康寿命(平均寿命から要介護期間を引いたもの)”への関心が高まる社会背景が既にあるという点に着目できます。

 少子高齢化は日本の話であり、海外を広く見渡せば人口は増加傾向にあります。中国など、健康商品や通信販売の市場が急成長し、制度の整備が急がれている国もあります。これも、既に起きた未来なのかもしれません。

 人が増えるところ、減るところでニーズはそれぞれ違いますが、健康商品を扱う皆様は、まさにその課題解決を担う方々だと思います。筆者も今後その商品のお世話になるだろうことは、明白だと感じています。一人の消費者として、「本当に安全で、有効な商品を消費者に届けていただきたい」という想いでこの原稿を書いております。

薬事法の規制もあり、不況もあり、政治も今は解散総選挙で慌しいとなれば、どうしても目先の問題に時間をとられてしまうかもしれません。ですが、こうした先行き見通しの難しい時代だからこそ、既に見えているものにヒントを求めるという方法もあるということについて、考えていただけるきっかけになれば幸いです。

※2005年日本の人口分布図 (引用元:国立社会保障・人口問題研究所WEBサイトより)

※2005年日本の人口分布図 (引用元:国立社会保障・人口問題研究所WEBサイトより)

※2055年日本の人口分布図 (引用元:国立社会保障・人口問題研究所WEBサイトより)

※2055年日本の人口分布図 (引用元:国立社会保障・人口問題研究所WEBサイトより)

著者プロフィール
川合裕之 氏

川合裕之(かわい・ひろゆき)氏

株式会社 ラベルバンク 代表取締役

即席ラーメン会社のサラリーマン、ラーメン屋のアルバイト、メロンパンの移動販売 開業と閉鎖を経て、食品の空き容器を収集しながら「食品表示・広告表現の課題解決 企業株式会社ラベルバンク」を設立(2003年)。
インターネットショッピングサイト上に食品品質表示が掲載されていない点にチャン スを感じ、「食品の品質表示は見せた方が得と考えている食品メーカーに、複雑な食 品表示のアドバイスや、品質情報の効果的な見せ方を提供する」コンサルティングを 展開するが、科学的根拠よりも大切なポイントがあることに気付く。
健康食品の品質表示・薬事法規制をテーマに官公庁・展示会等全国で講演多数、食品 専門誌(月刊食品包装等)で執筆。

(2009年7月配信)編集人:北口 編集責任者:武坂

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