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健康商品の有効性と安全性を伝えるときのポイント

第3回:産官学連携


大学発商品のブーム

 6月中旬ごろ、東京・新宿高島屋で大学発のオリジナル食品ブランドを一堂に集めたイベントが開催されたというニュース(6月21日:産経新聞「大学発・・・ブランド食品 産学連携で独自色」)がありました。地場の名産に一工夫を加えたものもありましたが、やはり時代を反映した栄養機能や健康機能を訴求する「健康商品」が多く見られます。

 特定の成分と機能に着目し、その研究成果を商品化すれば、地場名産食品に付加価値を乗せる食品と、同じ成分を使用した化粧品との商品展開になる場合が多いものです。今回は、主に健康商品における産官学連携のポイントを、食品の視点から話を進めたいと思います。

健康機能のニュースも増える?

 ご存知のとおり、医薬品や特定保健用食品など個別に許可された商品以外では、健康商品の有効性~つまり何によいのか~を訴求することはできません。これは、大学発ブランドの商品が臨床試験や学会発表を重ねていたものだとしても同様です。

 しかし、一般の消費者にはどこか普通の健康食品とは違うと思われるものです。その理由は、やはり臨床試験などの実験結果によるものだ、というイメージにあるでしょう。大学の冠をつける以上、根拠がないはずがないという考えですね。

 ここで大切なのは、こういった大学発ブランドの商品はマスコミにも注目されやすく、ニュースにもなりやすいことを意味します。先述の記事では、大学発商品の食品ブランドが次々と発売される背景には、少子化により入学希望者が減るなか、生き残るために特色を打ち出し、さらに収入源を確保する思いがあると書かれていました。

 マスコミ側から見れば、少子化の社会問題も背景にあり、なおかつ話の根拠も揃っているニュースというのは記事にしやすいのではないでしょうか。一時期メディアから健康ネタが消えた経緯もありますが、大学発ブランドという背景を持っていると、話は別かもしれないということですね。

時代の流れを読む

 自分には産学官連携は関係ないかも?と思う方もいらっしゃると思いますが、この話で注目するポイントは、例えば「納豆が○○に良いなどというニュースも、広まりやすくなるかもしれない」という点にあります。

 大学発ブランドは一過性のニュースでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、ここまで同一時期に大学発ブランドが増えているのは、少子化だけが背景ではありません。国が推奨する産業分野の一つに「バイオ産業」がありますが、この研究開発と事業化を推進する補助制度が背景にあります。

 その制度による資金支援は数年間にわたるのですが、事業化すること、つまり流通し販売することが大前提となっています。その数年間の最後の年度にあたる期間が、ちょうど今の時期に重なっているために、産学官連携~つまり大学発ブランド商品~が増えているというわけですね。

 世間に認知されていない機能性成分や素材を、この表現規制下で広めるのは難しいことです。ですが、なかには比較的広まりやすい背景を持つ分野もあるということを、本稿でお伝えしたいと思います。

 幸い、産官学連携の門戸は広く開放されていますので、自社単独での研究開発と商品化に限界を感じている場合は、一度産官学連携を検討してみるのも有効な手段のひとつです。確かに臨床試験をはじめその他のデータ収集への費用と、各機関への提出書類等に手間もかかると思いますが、一般の消費者としては証拠がはっきりしている商品を歓迎するものです。長期的に、このテーマであればいける!と判断された場合は、一度検討されてはいかがでしょうか。

産学官はお墨付きではない

 これまで産官学連携の良い面に触れましたが、最後に注意点もお伝えしておきます。まずは先述のとおり、産官学連携の商品、大学発の商品であっても、薬事法上の表現規制はあるということです。つまり、事実であっても個別に許可されたものでなければ、臨床試験の効能データなどを広告に使用することはできません。

 ここで「個別に許可された」という表現を再確認しますが、産官学連携自体は、効果効能を許可するものではありません。該当する事業を資金面や技術面で支援しているという仕組みですので、パッケージや広告の表示表現に対する許可をするものではないことを覚えていてください。

 実際に、パッケージに産官学連携のマークを付けた商品であっても、保健所や都道府県の薬事担当部署からみて薬事法違反にあたるとみなされ注意された事例もあります。こうなってしまえば、商品開発に携わった人にとっては誰にもメリットのあるものではありません。連携の際は、最終製品の表示についてもお互いに確認できるようしておきましょう。

 ここで、産官学連携商品で失敗しやすい表現事例を列挙しておきます。

1.大学教授が「この成分は○○の効果がある」と推奨する広告
2.臨床試験結果など効能自体のデータをグラフ等で表す広告
3.該当成分が体内で具体的に作用する様子を表す広告
4.特許内容の説明文中で、効果効能を表す広告
5.古くから地域で○○に効くと親しまれていた~と効果を暗示する広告

 ここで、いくら産官学連携で補助金が戻ってくるとしても、これだけ高い費用と手間をかけて言いたいことが言えないのであれば意味がないのではないか?と思われるかもしれません。ですが、先のマスコミで広まりやすい利点を考えれば、検討の余地はあるでしょう。

 いずれにしても、消費者は証拠のあるなしに敏感ですし、何より証拠のある商品を販売しているという自信が、企業で働く従業員に与えるモチベーションに大きな差が出てくることを考えれば、自然と答えは見えてくると思います。

 最後に、産学官連携において薬事法規制よりももっと犯しやすい失敗に触れておきます。今回のテーマ、特に地場の名産食品を加工した機能性食品(=健康食品)をイメージした場合、「おいしいことが大前提」という点がもっとも大切なポイントです。

 いくら健康によいと分かっていても、いくら証拠があっても、おいしくなければ続けることは難しいでしょう。人にも薦めることは難しいでしょう。おいしさには、「味・色・香り・食感」など総合的に構成された結果であるといえます。健康によいなどの機能性は、付加価値の一部でしかありません。

 研究成果の機能性データだけをもって、「どうだ!健康効果のある商品だ!」と言っても、やはりおいしいと感じる人が少なければ、どこか権威や情報だけを形にしたような商品に見えるかもしれませんので、素直に「おいしい食べ物」を追求する気持ちも必要ではないかと思います。

著者プロフィール
川合裕之 氏

川合裕之(かわい・ひろゆき)氏

株式会社 ラベルバンク 代表取締役

即席ラーメン会社のサラリーマン、ラーメン屋のアルバイト、メロンパンの移動販売 開業と閉鎖を経て、食品の空き容器を収集しながら「食品表示・広告表現の課題解決 企業株式会社ラベルバンク」を設立(2003年)。
インターネットショッピングサイト上に食品品質表示が掲載されていない点にチャン スを感じ、「食品の品質表示は見せた方が得と考えている食品メーカーに、複雑な食 品表示のアドバイスや、品質情報の効果的な見せ方を提供する」コンサルティングを 展開するが、科学的根拠よりも大切なポイントがあることに気付く。
健康食品の品質表示・薬事法規制をテーマに官公庁・展示会等全国で講演多数、食品 専門誌(月刊食品包装等)で執筆。

(2009年6月配信)編集人:北口 編集責任者:武坂

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