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健康商品の有効性と安全性を伝えるときのポイント

第2回:販売者の立場と証明書


◆1) 証明書を過信しない

 第1回目で、2009年は消費者庁も創設される背景もあり、消費者保護の観点が強くなるだろうという話をお伝えしました。

 特に健康商材にあてはめた大切なポイントは、
・1つは、「健康被害のない商品か」。つまり安全かどうか。
・もう1つは、「本当に効果があるのか」。つまり有効かどうか、についてです。

 例えばこんなニュースを、最近よく目にするようになりました。
「公正取引委員会は、効能が認められなかった商品○○を、効能があるかのように販売していた△△社に対して、今月○日に景品表示法違反(不当表示)による排除命令を出しました。」

 この類の話をまとめると、下記のような流れになります。

1.メーカーは、効能のある商品を開発した。 2.メーカーは第3者研究機関で効果を試験し、その証明を販売業者に提出していた。 3.販売業者はその証明書の内容を信用し、効果ありと販売した。 4.しかし広告などで表示する内容とは異なる素材の使用、含有量、濃度ではないかと疑われた。 5.公正取引委員会は別の研究機関で効果を試験し、効果が認められないことを結論付けた。

ある試験で効果や含有量が証明されても、別の試験ではそうでないと結論づけられることがあるということ。さらに言えば、試験当初は表示する成分などを含有していたかもしれないが、流通している商品には含まれていないことがあるということですね。

◆2) 消費者の立場から見た期待

 ここで、そもそも消費者が商品に対して期待する心理を想像してみましょう。健康食品を扱う方は肌がすべすべになりそうな入浴剤を、健康雑貨を扱う方は毎日の疲れを回復してくれるサプリメントを、それぞれ購入する場面をイメージしてください。

 みなさんはどのような期待をもって、通常商品より割高なお金をお店の人に支払いますか?

・パッケージや店員の説明から受ける効果を、自分自身でも実感したい!
・さらにこれまでの類似品と同じように、安全で使いやすいものが欲しい!

 やはり以上の2点を考えられる方が多いのではないかと思いますが、特に前者が大切です。その商品がどういったメカニズムで効果があるかというのも大事ですが、いったん消費者の立場に立ってみれば、自分に実感できることに意味があり、そこにお金を支払っているということですね。

 書いてあること、言っていることが本当か?という証明や根拠を用意する前提には、消費者としての立場で考えることが大切です。その上で、メーカーや販売者側の視点で、「書いてあること、言っていることは本当か」を満たすために必要な準備とは何か?を考えてみましょう。

◆3) 販売者側でも検証することが大切

 先の消費者の立場に、事業者側の責任という視点を加えると、準備すべき根拠や証明には大きく4つの種類があることが分かります。

 【有効性について】※許可された商品しかPRできない薬事法等の規制があります。

A)PRしたい効果について、最終製品の使用顧客がどれだけ効果を実感しているか。
 例:臨床試験、モニター試験、お客様の体験事例集など

B) A)の根拠となるメカニズムを、科学的に証明できるか。
 例:皮膚や細胞などへの作用について調査したものなど

 【安全性について】

C)通常の類似品と比べて、使用方法は分かりやすく安全性を保っているか。
 例:使用上の注意や、賞味期限、使用回数、目安量の表示など

D)C)の根拠となるメカニズムを、科学的に証明できるか。
 例:使用回数、賞味期限や目安量設定の根拠、使用成分の種類、含有量、濃度の数値など

 これらの準備をするには時間も費用もかかるものです。しかも薬事法上、表現できないことも多いのに根拠資料を用意するのは割に合わない、と思われるかもしれません。しかしこれは消費者に効果を実感されれば支持され、売上になることを考えれば適切な投資になりえるので問題はないと思います。この問題については、また後の機会に詳しく解説します。

今回問題となるのは、試験結果を入手しても、先のニュースのようになる可能性があるのでは・・・という不安です。大切なことは、先述の1~5の流れでいうところの3番「販売業者はその証明書の内容を信用し、効果ありと販売した」の時点で、自社でも検証する必要があるということです。

上記のAが提出されれば、Bに該当する証明はあるか。反対にいくらBが揃っていても、Aが無ければ実感は期待できないかもしれないという考察もできるでしょう。またはCの表示を見たら、Dに該当する証明はあるか、など多面的に検証することが大切だということですね。

◆3) 外側から課題を想定できる体制を

 数多くの商品を扱う販売者としての立場では、メーカーほどは商品内容に詳しくないでしょう。実際に製造する現場ではないだけに、メーカーが提出してくる資料を見て、いったいどんな検証をすればいいのか分かりにくいかもしれません。メーカーの提出するデータを、信用するしかないという実情も分かりますが、やはり販売側にも責任を問われるものです。

 大切なことは、
・商品特性ごとに、検証すべきポイントを知ること(たとえば上記のA~Dを詳しく知ること)
・自社で検証できる仕組みをもつこと(担当者、書類管理方法や手順を決めておくこと)
であると考えられます。

 これらを商品ごとに実行するのは、たしかに大変な作業です。しかし小規模の会社であっても、これらの検証をちゃんと実施し、内外からの信頼を得ている企業が存在しているのも事実です。まずは取扱商品のパッケージ、広告、表示などから想定されるリスクと、確認を必要とする書類について見当をつけるところから、はじめていくことが大切です。

 ただし、考えられる全ての細々とした検査証明書を揃えるのは、メーカーにとってもかなりの負担となります。値上げや品質の低下など、最終的に消費者の不利益とならないよう、必要最低限の管理にとどめておく体制をつくることが、より大切であるといえるでしょう。

著者プロフィール
川合裕之 氏

川合裕之(かわい・ひろゆき)氏

株式会社 ラベルバンク 代表取締役

即席ラーメン会社のサラリーマン、ラーメン屋のアルバイト、メロンパンの移動販売 開業と閉鎖を経て、食品の空き容器を収集しながら「食品表示・広告表現の課題解決 企業株式会社ラベルバンク」を設立(2003年)。
インターネットショッピングサイト上に食品品質表示が掲載されていない点にチャン スを感じ、「食品の品質表示は見せた方が得と考えている食品メーカーに、複雑な食 品表示のアドバイスや、品質情報の効果的な見せ方を提供する」コンサルティングを 展開するが、科学的根拠よりも大切なポイントがあることに気付く。
健康食品の品質表示・薬事法規制をテーマに官公庁・展示会等全国で講演多数、食品 専門誌(月刊食品包装等)で執筆。

(2009年5月配信)編集人:北口 編集責任者:武坂