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健康関連商品に関する規制オンラインゼミ

健康関連商材の販売において「知らなかった」では済まされない法律、審査、
広告表現・・・etc.を基礎からわかりやすく解説。

規制の多い健康市場で成果を出している企業の特徴

 第1回から第5回まで、健康商材に対する規制と対応の実態などについてお伝えしてきました。薬事法や健康増進法の関係で、言えないことが多いにもしても、やはり商品は売っていかなければいけません。

 筆者はこれまでに多数の健康関連企業に会う機会がありましたが、それでも伸びていると思わせる企業には、ある共通点があると感じるようになりました。今回は、その大切なポイントについてお伝えします。

1)なぜその企業がその商品を売っているのかが、誰でも説明できること

 健康商材には多くの規制があると書きましたが、実際には取り扱い企業自体も多いものです。つまり、規制の割に誰でも参入できるほど障壁が低いということでもあります。これまで工業製品を扱っていた企業が突然「青汁」を販売したり、インテリアを扱っていた企業が突然「ダイエット機器」を販売したり、など周りを見渡せばいくつも事例があることに気付くでしょう。

 しかし参入障壁が低いことと、事業が成功しやすいことはイコールではありません。筆者が見る限り多くの企業が最初につまづいているポイントは、「なぜうちの会社がこの商品を販売するのか」について明確な答えを周知できていない点にあります。

 「また社長が新しい事業を始めだしたよ。今度は青汁だって。しかしなんで、うちの会社が青汁を売らなきゃいけないんだろうね。健康食品を売るためにこの会社に入ったわけじゃないのに…。」これでは、商品がどんなに優れていても、うまくいかないことは明白です。

 反対にうまくいっている企業は、ここがしっかりしていると感じます。多くの時間を社内のコミュニケーションに使い、さらにその思いを組織名やスローガンなどの言葉にしたり、販促物などの目に見える形にしたりと、さまざまな工夫を凝らしていることが分かります。

2)従業員自身が、商品のファンになっていること

 うちの会社がなぜ・・・、に明確な回答があった上での次に大切なポイント。それは、「従業員自身が商品のファンになっていること」です。ファンになるくらい、商品のことを気に入っている、好きになっているということですね。

 これを測る指標としては、社内用サンプルの持ち帰りニーズが高いかどうか、などがあります。持って帰れば、自分で使うか、家族や友人に渡すか、いずれにしても商品自体を「よいものだ」と思っている証拠です。そんな自社商品への愛着のある従業員が、接客や販促物を作成すれば、必ず表に気持ちが現れてくるものです。

 従業員だけでなく、外部の協力者についても同じことが言えるでしょう。ただし上記1)の背景が無い、もしくは下記3)の根拠が曖昧な場合は、過ぎた愛着と変わる可能性があることも、健康産業特有のリスクであると感じています。

3)規制で使えなくても、科学的根拠などのデータを持っていること

 1)2)は健康産業だけでなく多くの場合で言えることだと思いますが、ここでは健康産業特有のポイントをお伝えします。それが、「各種規制により表現できないと知ったうえでも、科学的根拠などのデータを持っていること」です。

 薬事法や健康増進法の規制により、医薬品など認められた商品以外では、例え臨床試験のデータが真実であっても、それを広告等に掲載することはできません。消費者に直接口頭で伝えることもできません。

 青汁を例に取ります。自社商品の青汁が、どの程度便秘に効き目があるかを、大学等に依頼し臨床試験データを取得したとします。結果、効果があることが判明し、その詳細データを手に入れたとしても、商品を販売する際に消費者に伝えることはできないということです。

 それではお金をかけてまで、科学的根拠を取得する必要があるのか、と思う人もいるでしょう。ただ、もし規制と参入の多い健康産業でうまくいっている企業を参考にしたいのであれば、科学的根拠は相応のコストをかけてでも取得するべきでしょう。

 なぜなら、科学的根拠などのデータなくして、2)の共感を得ることは難しいからです。 明確な根拠なしに消費者に販売する姿勢をみて、従業員自身が商品を持ち帰りたがるでしょうか。人に勧めるでしょうか。規制のため表に出せなくとも、バックデータはしっかりとっておくこと。そういった姿勢に、従業員は共感を受け、しっかり販促を行うものです。

順番を間違わないこと

 これまで3つのポイントをお伝えしました。もう一つ大切なことを付け加えるとすれば、外側からの見え方に順番があるということです。

 うまくいっている企業は、1)→2)→3)のように見えることを心がけています。反対に、多くのケースで見かけるのが3)ばかりを見せようと奮闘し、1)2)は後付けで添えられている見え方です。

 健康商材は成長期もしくは成熟期の商品がほとんどです。3)の科学的根拠などをはじめとする商品の機能性は、準備として必須ではあるのですが、購入動機としては十分ではありません。同じ程度の商品であれば、他の信用できる会社か共感できる会社で購入するでしょう。多くの場合は新規参入の中小企業だと思いますので、見え方の順番を大切にし、共感を得て、「どうせ同じものならこの会社」と思われることをめざすと良いと思います。

 長くなりましたが、全6回の健康関連商品における規制オンラインゼミの締めくくりの章として、特に大切なポイントだと思うことをお伝えしました。皆様のビジネスに、少しでもお役に立つことができましたら幸いです。

著者プロフィール
川合裕之 氏

川合裕之(かわい・ひろゆき)氏

株式会社 ラベルバンク 代表取締役

即席ラーメン会社のサラリーマン、ラーメン屋のアルバイト、メロンパンの移動販売 開業と閉鎖を経て、食品の空き容器を収集しながら「食品表示・広告表現の課題解決 企業株式会社ラベルバンク」を設立(2003年)。
インターネットショッピングサイト上に食品品質表示が掲載されていない点にチャン スを感じ、「食品の品質表示は見せた方が得と考えている食品メーカーに、複雑な食 品表示のアドバイスや、品質情報の効果的な見せ方を提供する」コンサルティングを 展開するが、科学的根拠よりも大切なポイントがあることに気付く。
健康食品の品質表示・薬事法規制をテーマに官公庁・展示会等全国で講演多数、食品 専門誌(月刊食品包装等)で執筆。

(2009年3月配信)編集人:井村 編集責任者:竹嶋