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健康関連商品に関する規制オンラインゼミ

健康関連商材の販売において「知らなかった」では済まされない法律、審査、
広告表現・・・etc.を基礎からわかりやすく解説。

食品型の健康産業に参入するときに

 これまでは、健康商材全体についての表現規制や現状についてお伝えしました。今回のテーマは、特に厳しい食品分野での注意点です。テレビ健康番組の捏造問題を機に、苦戦してきたサプリメント市場ですが、その一方で食品型の機能性食品が人気を集めるようになりました。サプリメントのように成分重視ではなく、おいしい、満腹になるといった食品本来の機能を維持した商品を、ここでは食品型と呼ぶことにします。

 普通の食品に機能性成分を添加したものや、栄養を強化したもの、カロリーを抑えたものがそうですね。サプリメントは競争も激しく売上も伸び悩んでいるので、これを機に食品型の商品を開発しよう、と新規参入するケースも多くみかけるようになりました。

 今回の話は、この「食品分野」への新規参入時の注意点です。薬事法規制への注意も大変でしたが、食品のように昔からある歴史の長い業界に参入するときにも、やはり注意しなければいけないことがあります。これから、その「特有のルール」について解説します。

特色のある原材料

 「北海道産小麦使用」、「有機大豆使用」、「非遺伝子組み換え大豆使用」のように、特色のある原材料等を強調して表示する場合には、その使用割合を表示しなければならないことが定められていいます(JAS法:加工食品品質表示基準)。ただし、割合が100%の場合は表示しなくても問題ありません。例えば、北海道産の小麦を50%、アメリカ産の小麦を50%使用している場合などが、表示義務の対象となります。下記は、特色のある原材料の強調表示にあたるとされる具体的な例です。

・特定の原産地のもの(例:北海道産小麦使用)
・有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品(例:有機大豆使用)
・非遺伝子組換えのもの等
・特定の製造地のもの(例:北海道で製造されたバター)
・特別な栽培方法により生産された農産物(例:特別栽培ねぎ使用)
・品種名等(例:コシヒカリ使用)
・銘柄名、ブランド名、商品名(例:宇治茶使用、市販商品名「○○」使用)

 上記のリストのうち、一番下の「市販商品名」も特色のある原材料であることに注意が必要です。食品型の健康食品が増えているには先述したテレビ問題以外にも、産業側の社会背景もあります。それが、地方農業への注目の高まりです。

 以前から、地方活性化の切り札として「地方の資源を活用したバイオ産業と機能性食品」に注目が集まっています。さらに昨年の金融危機を経て、国内での食糧自給率への関心の高まりを背景に、続々と商品開発が進んでいます。その多くが通常の販売方法では流通コストが合わないと考えたため、付加価値を高めるために機能性食品として販売を始めるようになりました。

 地方発の機能性食品の使命を持っていても、平等に薬事法規制はあります。そこで、地方発の機能性食品は、他の「ウリ」を考えます。それが、「その地方で有名な食品ブランド名(商品名)の使用」です。機能性食品の販売と、地方有名食品のPRの一石二鳥ですから、これはかなり使われる方法です。もし使用割合が100%であれば問題ありませんが、そうでない場合は、使用割合を書かなければなりません。商品名以外にも、地方であればあるほど、農薬(特別栽培)や有機などにPRのポイントが向かうものですので、注意しましょう。

個別の品質表示基準と公正競争規約

 先ほどのルールは、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の加工食品品質表示基準によると書きました。しかしこれ以外に、同じJAS法内にも個別の品質表示基準と呼ばれるものがあります。この個別の品質表示基準は少々やっかいで、「共通の基準と個別の基準のどちらに従えばいいのか」という疑問が出るくらい、共通で定められた品質表示基準の内容と異なる解釈ができるものがあります。

 個別の品質表示基準が定められているカテゴリーは、多くあります。同様に、「公正競争規約」というものもあります。例えば地場で取れた健康にいい「りんごジュース」を発売しようとした場合、
「生、フレッシュその他新鮮であることを示す用語」
「天然又は自然の用語」
「純正、ピュアーその他の純粋であることを示す用語(原材料に果実の搾汁及び天然香料以外のものを使用していないものに表示する場合を除く。)」 については個別の品質表示基準と公正競争規約で禁止され、
「栄養飲料、健康飲料、美容飲料等の表示(説明文中に栄養、健康、美容等の文字を使用することは差し支えない。)」
「医薬品のような効能を表す表示」
「特選、精選、高級、デラックス、スペシャル等の表示」
については公正競争規約で禁止されています。

<個別の品質表示基準の分類の例>
・果実ジュース
・果実ミックスジュース
・果粒入り果実ジュース
・果実・野菜ミックスジュース
・果汁入り飲料
・果汁の使用割合が10%未満の飲料(無果汁のものを含む)
・トマトジュース
・トマトミックスジュース
・トマト果汁飲料 …他

<公正競争規約の分類の例>
・果実飲料等
・トマト加工品
・飲用乳
・殺菌乳酸菌飲料
・はっ酵乳・乳酸菌飲料 …他

 これが、「特有のルール」です。歴史ある食品業界に参入する際には、ぜひとも「個別の品質表示基準」と「公正競争規約」に注意してください。

その他の注意点

 経営に近い立場にある方であれば、「食品は意外に原価が高く、賞味期限が短い」ということの在庫リスクを感じ取ることができると思います。新規に参入される場合は、サプリメントとは、全く別物という認識を持っておくことが重要でしょう。またあまり関係ないかもしれませんが、分野調整法というものがあり、中小企業独特の食品市場には大企業は参入できないというルールもあります。豆腐は有名ですが、ラムネとかもそうですね。大企業で農業ビジネスに参入し、その後食品の開発と販売を検討するという流れを想定している場合には、一度調べておいた方がよいでしょう。

次の第6回では、これまでの規制内容と社会背景を踏まえた上で、「売れている商品の特徴」について触れてみようと思います。

著者プロフィール
川合裕之 氏

川合裕之(かわい・ひろゆき)氏

株式会社 ラベルバンク 代表取締役

即席ラーメン会社のサラリーマン、ラーメン屋のアルバイト、メロンパンの移動販売 開業と閉鎖を経て、食品の空き容器を収集しながら「食品表示・広告表現の課題解決 企業株式会社ラベルバンク」を設立(2003年)。
インターネットショッピングサイト上に食品品質表示が掲載されていない点にチャン スを感じ、「食品の品質表示は見せた方が得と考えている食品メーカーに、複雑な食 品表示のアドバイスや、品質情報の効果的な見せ方を提供する」コンサルティングを 展開するが、科学的根拠よりも大切なポイントがあることに気付く。
健康食品の品質表示・薬事法規制をテーマに官公庁・展示会等全国で講演多数、食品 専門誌(月刊食品包装等)で執筆。

(2009年2月配信)編集人:井村 編集責任者:竹嶋

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