概要
界面活性剤は代表的な洗浄分野や乳化、可溶化分野での利用だけにとどまらず、吸着、帯電防止、防曇、潤滑、切削研削、防錆、染色助剤、殺菌、凝集など多様な分野で使用されています。また、高分子の分野においても乳化重合への利用など界面活性剤が高度に使用され、「困ったことがあれば界面活性剤の利用を考えてみる」と従来からよく言われています。
本セミナーでは、界面活性剤混合系の物性挙動や化学的に分解可能な界面活性剤の開発状況ならびに界面活性剤の構造と機能の関係、高機能な糖質系界面活性剤の開発やファインケミカル分野への界面活性剤の効果的な利用など、幅広い視点から界面活性剤についての最新の研究内容を紹介いたします。
ページの先頭へ戻る
内容
1. 分子から見た界面活性剤の構造と機能(13:05〜14:00)
有機材料研究部 界面活性剤研究室長 山村 伸吾
界面活性剤は、起泡、乳化、分散、洗浄などの現象に大きく関わる性質を持つために、現代の産業分野に幅広く応用され、その作用や機能を解明するために、様々な科学的評価法により界面活性剤の分子構造と性質の関係が研究されています。また、安全性や環境適合性などの問題から見た性能評価も大きな要件となっています。そこで、実用的な観点から具体例を挙げ、界面活性剤が産業の発展に関わってどのように展開されてきたのかを含め、その種類と用途などについて概説します。
2. 界面活性剤混合系で形成される会合体構造とその溶液物性(14:00〜14:55)
有機材料研究部 界面活性剤研究室 研究主任 懸橋 理枝
界面活性剤の機能や性能の向上を図るには、界面活性剤分子集合体(会合体)構造の制御は重要な因子の一つです。特に、界面活性剤混合系では、疎水性相互作用、静電相互作用、及び近距離相互作用(例えば水素結合)などの界面活性剤分子間相互作用により、形成される会合体の構造はしばしば単独系とは異なります。本講演では、陽イオン―陰イオン界面活性剤混合系、及びアミンオキシド系界面活性剤混合系における構造形成とその溶液物性について、その具体例を紹介します。
ページの先頭へ戻る
内容
3. 化学分解性界面活性剤の開発とその応用について(15:10〜16:05)
生物・生活材料研究部 香粧品研究室 研究主任 小野 大助
洗浄や乳化などに使用した後、不要となる界面活性剤の問題を解決するために、化学分解機能を付与した新しい界面活性剤の研究を行っています。この化学分解性界面活性剤は、使用後、容易に化学分解することにより、乳化系を解消できたり、また洗浄剤として用いた場合、環境負荷の低減が期待できます。本講演では、これまでに開発した化学分解性界面活性剤の合成と界面物性、ならびに洗浄や乳化重合反応への応用例について紹介します。
4. 糖質系界面活性剤の開発ならびにミセル
/乳化系を用いた有機反応制御と光学異性体識別(16:05〜17:00)
生物・生活材料研究部 香粧品研究室 研究主幹 中村 正樹
界面活性剤水溶液が作るミセルや乳化系は不均質な相を溶液内に作りだすため、特異な反応場として利用することが可能です。ミセルや乳化系を分子制御のための反応場として利用した選択的有機反応について紹介するとともに、光学活性な界面活性剤を用いたキラルなミセルが有する高い光学異性体識別能についても紹介します。また、そこで用いた糖および糖アルコール系界面活性剤の開発とその界面活性剤としての高機能性についても紹介します。
ページの先頭へ戻る
【お客様の情報について】
お申込みいただくお客様の情報は、大阪市立工業研究所と共有させていただき、市工研関連の催事情報をダイレクトメールでお知らせいたしますので、ご了承の上お申込み下さい。
ページの先頭へ戻る