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営業秘密の漏洩防止と問題発覚時の対応

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  • 営業秘密の漏洩防止と問題発覚時の対応

    当社は独自技術を活かして特殊な部品を製造しています。最近,この技術に関する情報が持ち出され,競業他社に流されていることが判明しました。当社はどのように対応すべきですか。また,再発防止のために何をすべきですか。

    漏洩状況等を調査し拡散を防止するとともに,管理体制を強化すべきです。


    1.情報の拡散防止
    (1) すぐに情報漏洩の経路とその原因を調査して特定してください。その上で,漏洩先を特定し,技術情報がどのように使用されているか等を調査すべきです。これらの調査結果によって,貴社のとるべき対応が異なってきます。
    (2) また,貴社の技術情報が不正競争防止法上の「営業秘密」に該当すれば,差止請求(使用禁止や製品廃棄など)や損害賠償請求を行うことができます。
     この「営業秘密」に該当するためには,①有用性,②非公知性,③秘密管理性の要件を充足する必要があります。
     このうち特に重要なものは,秘密管理性(③)です。この要件の認定にあたっては,「秘密であると客観的に認識できること」と「アクセスが制限されていること」が求められ,下記のような具体的管理方法が勘案されます。
     ・ 物理的管理:マル秘の表示,施錠保管,パスワード設定,使用や複製の承認手続など
     ・ 技術的管理:IDやパスワードの設定,マニュアル化,情報セキュリティの強化など
     ・ 人的管理:誓約書等による秘密保持義務の明記,秘密保管の周知など
    (3) なお,営業秘密に該当しない場合も,調査結果によっては不法行為(民法709条)や契約に基づく責任追及が考えられます。

    2.再発防止策
    (1) まず,「営業秘密」とその他の情報とを区別し,営業秘密とする情報について,秘密管理性の要件を満たすような管理方法を構築していくことになります。
     完璧を目指すと多くの費用や労力が必要ですので,「実施可能な方法から実施していく」というスタンスで進めてください。例えば,マル秘の表示や施錠保管などはすぐにできる管理方法といえます。
    (2) また,従業員の「営業秘密を守る」という意識が育っていなければ,管理体制は十分に機能しません。そこで,定期的な研修を行うとともに,就業規則等に秘密保持義務を明記し,入社時や退職時に秘密保持義務を定めた誓約書を徴求すべきです。
     さらに,委託業者や取引先についても,基本契約書を作成する際には秘密保持条項を明記することが重要です。

    3.まとめ
     法的手段の検討のために,漏洩状況等を可能な限り把握するとともに,再発防止のために実施可能な管理方法から実践してください。なお,「営業秘密に該当するか」については,事業規模や情報内容等によって異なりますので,貴社の資料等を前提に弁護士等の専門家にご相談されることをお薦めします。

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