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従業員が退職することになりました。年次が変わってすぐの時期のため、未消化の有給休暇が多く発生しており、退職日までの十分な出勤日が確保できず引継ぎ面に不安が残ります。よい消化方法はありますか。
退職時が迫っている時は有給休暇の買取の方法を検討しましょう。
有給休暇は労働者の権利であり、有給休暇の残日数について、退職者から退職日までにこれを取得する旨申請された場合、原則労働者の申請のあった時期に有給休暇を認めなければなりません。
有給休暇は、年次が変わってすぐの退職の場合でも、年次中の期間に比例した付与ではなく、所定の日数が一律に付与されるものですので、従前の未行使の有給休暇と合わせて相当日数の有給休暇が発生する場合もあります。
企業には、通常時に、事業の正常な運営を妨げるような場合に時季変更権の行使が認められますが、この場合、他の時季に有給休暇を取得させなければなないため、退職時には時季変更権を行使することができません。相当日数の有給休暇を退職日までに消化させることが必要で、多くの場合、引継等に必要な日数の勤務の後、有給休暇の日数を消化させた後退職日を設定することが行われています。
退職の申出があった際は、引継等の業務と有給休暇の消化を踏まえた合理的な退職日の設定を行うことが重要です。
もっとも、退職日の時期が迫った時期に退職の申出がなされた場合はこのような調整が難しい場合も想定されます。年次有給休暇は、労働者が実際に休むことを確保する有給休暇制度の趣旨から有給休暇の買い取りは禁止されていますが、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇の残日数に応じて金銭を給付することは差し支えないとされています。
残日数の買取による消化方法を提案することにより、労使間での協議を進めて必要な業務日数を確保されるとよいでしょう。