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特許等の出願に関して所定の手続期間を過ぎてしまった場合の対応策は?

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  • 特許等の出願に関して所定の手続期間を過ぎてしまった場合の対応策は?

    特許出願を行いましたが、事情があり出願審査の請求を行えないまま審査請求期間(出願日から3年)を経過してしまいました。この場合、遅れて審査請求手続きを行うことは可能でしょうか?

    「正当な理由」が認められれば、救済される可能性があります。



     特許法等で定められた手続期間についても、拒絶理由通知で指定された応答期間についても、期間徒過後に手続を行うことが容認される場合があります。なお、詳細については、特許庁のサイトで公表されている「期間徒過後の救済規定に係るガイドライン」等で確認してください。

    (1)法定の期間を徒過した場合
     行えなかった手続を所定の「救済手続期間」内に行うと共に、「正当な理由」を記載した回復理由書を提出すれば、救済される可能性があります。
     (a)救済手続期間について
      ① 救済手続期間は、「手続をすることができなかった理由がなくなった日から2か月以内で期間の経過後1年(商標の手続に関しては6か月)以内」です。
      ② 「理由がなくなった日」を明示する必要があります(客観的な証拠書類を添付して)。なお、「理由がなくなった日」とは、手続書面を提出できる状態になった日を意味します。
     (b)正当な理由について
      ① 原因となった事象が予測可能であった場合、「正当な理由」として認められません。
      ② 事象の発生前と発生後に出願人等が適切な措置を講じたか否かが判断されます。
      ③ 次のような事例は、「正当な理由」として認められる可能性があります。
     ・天災地変による被害に遭った場合であって、手続可能な状態に回復した日には、既に手続期間が徒過していた。
     (c)救済の対象となる手続について
     対象となる代表的な手続は以下の通りです。
     ・出願審査の請求(特許)
     ・特許料の追納による特許権の回復(実用新案・意匠も同様)
     ・商標権の更新登録の申請
     ・パリ条約による優先権主張の手続(特許・実用新案・意匠)

    (2)拒絶理由通知で指定された応答期間を徒過した場合
     「期間延長請求」を行うことが可能です。上述の法定の期間を徒過した場合と異なり、手続できなかった理由を説明する必要がないため、簡便に利用することができます。
     (a)特許出願
      ① 応答期間内に請求する場合
        出願人が国内居住者の場合、1通の請求で応答期間の2か月延長が認められます。出願人が在外者の場合、2通目の請求で更に1か月の延長が認められます。
      ② 応答期間経過後に請求する場合
       応答期間の末日の翌日から2か月以内に請求をすれば、出願人の居住地に関わらず、応答期間の2か月延長が認められます。
     (b)商標登録出願
      ① 応答期間内に請求する場合
        出願人の居住地に関わらず、1通の請求で応答期間の1か月延長が認められます。
      ② 応答期間経過後に請求する場合
        応答期間(1か月延長されたときは延長後の応答期間)の経過後であっても、応答期間の末日の翌日から2か月以内に請求をすれば、出願人の居住地に関わらず、当該応答期間の2か月延長が認められます。
     (c)意匠登録出願
      ① 応答期間内に請求する場合
        出願人の居住地に関わらず、1通の請求で応答期間の2か月延長が認められます。2回以上の延長請求はできません。
      ② 応答期間経過後に請求する場合
        応答期間の末日の翌日から2か月以内に請求をすれば、出願人の居住地に関わらず、応答期間の2か月延長が認められます。2回以上の延長請求はできません。

回答した専門家
知的財産

岡本 直樹

知的財産を制する者はビジネスを制す。あなたの大切な事業を守るために必要な知財...

目先の利益に直結しない知的財産の取得は、単なるコストというイメージが強く、後回しにされがちです。しかし、長期的視点に立てば、事業の排他性を担保する知的財産権は勝ち残るために不可欠な投資です。特許庁からは、中小・スタートアップ企業をサポートするための施策が次々に打ち出されています。後手に回らず、知的財産からスタートすることをお勧めします。些細な疑問でも結構です、遠慮なくご相談ください。

ライセンス

弁理士
日本ディープラーニング協会ジェネラリスト

重点取扱分野

●各種相談(権利化可能性、権利侵害、ライセンス交渉等)

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