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新しく開発した自社製品について特許を取得しました。特許があるので他社特許を侵害することはなくなったと考えて、この自社製品の製造・販売により他社特許を侵害しないかを調査しなくても大丈夫でしょうか?
他社特許権を侵害する可能性があるので、侵害調査をしてください。
新製品開発にあたって、全く新しい技術のみを使うということは稀であり、既にある技術を改良するということは、よくあることです。
例えば、世の中に「湯のみ」しかなかった場合に、「湯のみに取手を付ける」すなわち「マグカップ」を発明した場合に、「湯のみに取手を付けた」ことで特許を取得出来る可能性があります(特許A)。その後、「マグカップ」の取手の形状を特定の形状(ハート型とか)にして持ちやすくする発明をした場合に、「湯のみの取手の形を特定の形状にした」ことで、特許を取得出来る可能性があります(特許B)。特許Bの発明が、世に知られておらず(新規性があり)、特許Aの発明等の世に知られている発明から簡単に作れるものではない場合(進歩性がある場合)には、特許になります。
特許Aだけでなく特許Bも取得できるわけですが、特許Bの発明は特許Aの発明を前提に成り立っており、特許Bの「湯のみの取手の形を特定の形状にした」発明品を製造・販売することは、特許Aの「湯のみに取手を付けた」発明を侵害することになってしまいます。この様な、特許Bと特許Aとの関係ですが、法律的には、特許Bは特許Aを「利用」するといいます(特許法第72条)。
上述したように、自社製品について特許を取得したとしても、自社の特許発明が他社の特許発明を「利用」する場合には、この他社の特許を侵害することになります。この様に、自社製品の特許(特許権)を取得したからといって他人の特許(特許権)を侵害していないお墨付きとはなりません。このため、新製品を製造・販売するにあたって、この新製品が権利範囲に含まれる他社の特許がないかを調査することをお勧め致します。調査をすることで、他社特許を侵害によって、新製品の製造・販売が出来なくなったり、損害賠償請求を受けたり、ライセンス料を支払わなければならないという不利益の発生を効果的に防止することが出来ます。