2012年2月20日
                           大阪産業創造館

 

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      ~「親の会社」に向き合う3ヶ月~先生は「後を継いだ」若手経営者陣
       関西学院大学で「後継ぎ」学生対象のガチンコ事業承継講座開講  
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        日本経済の国家的な課題「国内企業の65.9%が後継者不在」
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大阪市の中小企業支援機関「大阪産業創造館」は関西学院大学と連携して
実家が事業を営む学生を対象に、自身も家業を継承した現役経営者が講師と
なって、世代交代を機に展開する新規事業や業態転換などの可能性について
解説する講義「~家業と向き合う3ヶ月~現役経営者と学ぶ後継者の
ためのキャリアデザイン」を4月より開講します。

講師にはさまざまな業界の若手経営者6人が登壇。
世代交代を機に、業態転換、新規事業、組織改革などの新しい取組みや
変革を実現した若手経営者が、各社の具体的な事例を交えて講義します。
また、各学生の家業を題材にしたグループワークも取り入れた実践的な
内容となっており、大学生の頃から経営者マインドや将来の人脈を醸成
することが目的です。

帝国データバンクが約41万社を対象に実施した「後継者不在企業の
実態調査」(※)によると、国内企業の65.9%が後継者不在という結果が
出ています。一方で、後継者が不在となっている年商10億円規模の企業には、
高い企業価値を持つ優良企業が多いことも明らかになりました。
調査では「国内産業が衰退するなかで、技術力や競争力のある企業の
安定した事業承継は、今後の日本経済を支えるうえでも国家的な課題であり、
経営者に課せられた最大の義務のひとつだと言える」としています。

(※2011/12/26帝国データバンク調べ)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111206.pdf

この取り組みは卒業生に中小企業経営者が多いといわれる関西学院大学
との連携講座として昨年度開講。昨年は家業の子弟約30人を含む約100人が
受講し、学生からは「家業の将来性」「父親との向き合い方」などの
生々しい質問が飛び交い、家業に真剣に向き合う学生と現役経営者による
熱い議論の場になりました。

次年度では、対象を家業の子弟に限定し、学生の家業をベースにした
グループ討議などの実践的な内容を拡充する予定です。

今回、登壇する若手経営者も「継ぐ立場も継がせる立場もわかる
自分たちだからこそ、家業の承継はやり方次第でチャンスになることを
若い世代に伝えたい」と語っています。

依然、中小企業にとって厳しい経営環境が続いていますが、
今後も後継者問題の解消に微力ながら寄与してまいります。

 

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■連携講座001 
親の会社に向き合う3ヶ月
「現役経営者と学ぶ後継者のためのキャリアデザイン」実施概要
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<形式>連携講座 ※連携協定締結に基づく

<単位>2単位

<対象>全学部、全学科 2年生以上 ※実家が家業を営んでいる学生

<期間>H24年度2012年度春学期(4月~7月) 2時限目11:10~12:40
<場所>関西学院大学西宮上ケ原キャンパス

<テーマの一例>
「覚悟を決めた出来事」
「創業者と後継者の違い」
「老舗と革新」
「リーダーシップと組織力」
「財務再建と海外戦略」
「家業×挑戦~業態転換・新規事業・・・」など

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■講師陣
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<経営者>

■「技術は素人」社長が会社存続のために若い職人たちと挑む次の一手
株式会社 フェック 川井淳史社長(製造業)
http://www.flex-eng.jp/

「将来は起業したい」という思いで、大手メーカーに2年勤務した後に、
ウェブ制作会社を立ち上げたものの、26歳で家業へ。華やかな業界から職人
ばかりの技術系製造業に飛び込み、直面したのは社員との壁。自称「技術は
素人」社長は社員との信頼関係をどう醸成していったのか。厳しい経営環境が
続く中小製造業が挑む事業展開とは。若い職人たちと大奮闘の日々を語る。

■老舗100年企業が創業来の印刷技術で挑む異分野参入
株式会社 渡辺護三堂 宮田玲社長(製版業) 
http://www.gosando.com/

創業1890年の老舗製版業。生命保険会社勤務を経て30歳で家業に入社。
大企業との風土の違いに戸惑い、父親との衝突や試行錯誤を繰り返す中で
迎えた社長就任。社員や顧客と向き合う日々を重ね、5代目として護っていく
べきものが何かを体得する。そして今、「どうせやるなら日本一をめざそう」
と、祖父から学んだ商いの心と父が育ててくれた製版技術で展開する新たな
挑戦を語る。

■組織崩壊・倒産の危機からの起死回生 めざすはチーム力経営
株式会社三恒 三上正剛社長(中央卸売市場・水産卸業) 
http://www.santune.co.jp/

社長就任直後の組織崩壊。売上げゼロが続く倒産の危機の中、「鮭で商売を
立て直す」という決意で、切り身販売の導入で顧客を次々に開拓。何とか
事業を再建したものの、営業方針で衝突した右腕社員の辞職を機に、組織を
一から作り直そうと一念発起。そして今、理念と目的を全員で共有する
「チームさんつね」で切り拓く未来予想図は如何に。

■決死の覚悟で臨んだ経営再建、100周年に向けて挑む海外戦略
株式会社 栗田機械製作所 栗田佳直社長(製造業)
http://www.kurifil.co.jp/ 

1930年創業のろ過機製造業の三代目。商社に勤務していた25歳の時、父親が
突然病に倒れたことから急遽、次期社長として家業に入社。しかし若社長に
待ち受けていたのは危機的な財務状況だった。銀行との交渉、社員との軋轢、
そして自身の葛藤の中で、起死回生を胸に事業再建。そしてアジア諸国の
環境インフラ市場が高まる現在、創業以来培った濾過技術をもとに展開する
海外戦略とは。

■創業者の思いを知ることで見えてくる事業再編と新たな事業展開
日建産業株式会社 濱口健宏社長(鋼管卸売・加工業)
http://www.nikken-sangyo.com/

1939年創業。大手商社勤務を経て、26歳の時に、「戦後の日本のインフラを
再建する」の願いを込めて祖父が創業した鋼管卸売業に入社。当時数十億の
負債がある中で、32歳で三代目社長に就任。担当の銀行員の「あなたの社長
としての仕事は借金を返すことだけだ」の一言に奮起。経営資源の徹底的な
検証と、ダイナミックな事業再編により高収益体質に転換。そして今、
創業期の理念をもとに展開する新たな取り組みを語る。

■「廃業を覚悟したら腹が決まった」 起死回生の業態転換の舞台裏
株式会社 大都  山田岳人社長(工具卸販売卸業) 
http://www.diy-tool.com/

1937年創業。工具卸販売業を営む義父から言われた結婚の条件は「会社を継ぐ 
こと」。いつかは起業しようと思っていたので迷いはなかったが、入社後、
決算書を見て愕然とする。危機的な経営状況の中、廃業覚悟で臨んだのは
ネット直販による事業再建だった。知識もノウハウもない中での孤軍奮闘、
先代社員との軋轢、リストラの断行、業界からの反発・・・
9年後に最高益を実現することになった業態転換の舞台裏を語る。

<専門家>
■株式会社後継者BC研究所 大島 康義社長(中小企業診断士)
http://www.k-bc.co.jp/

事業承継の専門家。大学卒業後、父の会社(ホテル業)に入り、後継者の道を
歩みはじめるが、阪神大震災をきっかけに会社は100億円近い負債をかかえ、
10年間の試行錯誤の末、あえなく倒産。「できることなら後継者時代の自分に
伝えたい」との思いで自身の体験を体系化。世の後継社長の参謀として活躍
するコンサルタント。本講座では事業承継を体系立てた思考法に落とし込む
理論を担当する。

<講師・コーディネーター>
山野千枝 関西学院大学非常勤講師・大阪産業創造館チーフプロデューサー

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【本件・取材に関する問い合わせ先】
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■大阪産業創造館
  企画担当:山野  TEL:06-6264-9915
  広報担当:松原  TEL:06-6264-9902

■学校法人関西学院 広報室 増子(ますこ)
  TEL:0798-54-6017

※本件は同日同時刻に同様の内容で関西学院大学でも発表しています。
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