21世紀に入り、自動車、航空機、医療機器、通信機器、照明機器、情報家電など、プラスチック製品はあらゆるところに使われていますが、その要求機能や性能はますます高くなり、より高付加価値化が望まれています。特に、単なる機能発現でなく、長期信頼性も求められています。
また地球温暖化ガス削減などの環境意識の高まりを背景に、バイオマスでかつ生分解性のプラスチックの利用が世界的にも進んでいます。さらに急激に発展している東アジアの国々に対抗するため、機能や性能の強化を安価に行うことも必要です。
今回のセミナーでは、環境対応高分子であるポリ乳酸の新たな精密合成とその特性、環境に配慮した難燃剤創製とその機能、少量のカーボンナノ材料の添加で導電化できる、新しい複合ポリマーブレンド、ポリマーブレンディングを活用した新規な耐候性向上技術など、幅広い最新の研究成果や技術情報を、大阪市立工業研究所の研究員が説明します。
内容
1) 13:00〜13:05
あいさつ 理事長 中許昌美
2) 13:05〜13:50
「分子の長さ・形が揃い、接着性、耐熱性に優れた新しいポリ乳酸」
(講師)加工技術研究部 高機能樹脂研究室 研究主任 門多丈治
ポリ乳酸はバイオマス由来の生分解性プラスチックとして有名だが、脆くて耐熱性が低いため本格的な普及に至っていない。そこで新しいタイプの重合触媒を用いた新合成法を開発し、長さ、形の揃ったユニークな構造のポリ乳酸の合成に成功した。このポリ乳酸は分岐が多いため、柔軟でエポキシ樹脂並みの接着力を持ち、これまで困難であったポリ乳酸300℃以上の耐熱分解性を得た。本講演では新規合成法と接着剤などへの応用について紹介する。
3) 13:55〜14:40
「有機リン系難燃剤の合成と機能」
(講師)有機材料研究部 化成品合成研究室長 伊藤貴敏
プラスチック製品を高付加価値化する手法として難燃化技術があり、用途は電子材料・自動車・繊維から先端材料のリチウム電池材料まで多岐に渡っている。有機系難燃剤では、ノンハロゲン化への社会的流れに基づきハロゲン系からリン系への転換が進められている。
本講演では、最近の有機リン系難燃剤の合成と機能について文献資料を中心に紹介する。また、弊所で行っているリン原子導入反応による難燃剤合成についても併せて述べる。
ページの先頭へ戻る
4) 15:00〜15:45
「樹脂中でのナノカーボン材料の偏在を利用した複合化技術」
(講師)加工技術研究部 プラスチック加工工学研究室 研究員 籠 恵太郎
カーボンナノチューブは、樹脂に導電性、電磁波吸収性、熱伝導性、機械的強度などを付与または向上できるナノカーボン材料だが、未だ価格が高いこともあり、充分普及していないのが現状である。そこで、ポリマーブレンド中の一方の樹脂中でナノカーボン材料を偏在させることで、通常の複合化の場合の半分にあたる少量のナノカーボン材料で導電化することに成功した。本講演では、この複合化技術の研究事例紹介を中心に解説する。
5) 15:50〜16:35
「ポリマーブレンディングを利用した高耐候性ポリマー材料の開発」
(講師)加工技術研究部 プラスチック加工工学研究室 研究主任 東 青史
耐候性は屋外用途のプラスチック製品に不可欠な性能であり、その向上のため紫外線吸収剤や酸化防止剤が用いられるが、ブリードアウトやそれによる環境汚染等の問題を起こしやすい。また塗装や、酸化チタンやカーボンブラックなどの添加を行う場合もあるが、意匠性や強度が低下し、価格も上昇する。
そこで、紫外線吸収性が大きいポリマーを均一にブレンドし、上記の問題を解決しつつPP(ポリプロピレン)やPA66(ポリアミド66)の耐候性を向上させることに成功した。本講演では、その開発例を中心に、種々の手法について解説する。
6) 16:40〜17:20
総合相談会
当日は、講演会場外のエントランスにて、上記の2〜5の講演に関する質問に対して講師が直接答えるブースと、その他のプラスチックに関する一般的な質問にも対応するブースを設けます。ぜひご利用下さい。
ご注意
【お客様の情報について】
お申込みいただくお客様の情報は、大阪市立工業研究所と共有させていただき、同研究所関連の催事情報をダイレクトメールでお知らせいたしますので、ご了承の上お申込み下さい。
【お申込みについて】
1社から原則2名までのお申込とさせていただきます。
(お申込みはお一人ずつ必要です。1社を代表してのお申込みは、申込者のみの受付となりますのでご注意ください。超過申込み分については、ご入場頂けない事がございます。あらかじめご了承ください。)
ページの先頭へ戻る